伊能忠敬界隈とは?何十キロも歩くのが流行?健康のために知っておきたいこと
SNSで「何十キロも歩いた」という投稿を見かけて、「伊能忠敬界隈」という言葉が気になった方もいるのではないでしょうか。
そんなに歩けるものなのか。健康のためには、自分もそのくらい歩いた方がいいのか。ふだんの買い物や散歩だけでは足りないのか。ちょっと気になりますよね。
『ヨドガワウォッチ』エリア担当ライター、浜崎鍼灸整骨院 院長の浜崎 洋です。わたしは、歩いた距離よりも、帰ってからふだんの暮らしを送れるかを先に考えます。
今回は「伊能忠敬界隈」の意味と話題の背景を確かめながら、健康のために必要な運動量、長く歩くときの注意点、十三や三国で気軽に始められる散歩の考え方をお伝えします。
伊能忠敬界隈とは?長距離を歩く人たちのSNS上の呼び名
「伊能忠敬界隈(いのうただたかかいわい)」とは、長い距離を歩くことを楽しむ人たちを指す、SNSなどで使われている呼び名です。
名前の由来は、江戸時代に日本各地を歩いて測量し、精密な日本地図づくりに取り組んだ伊能忠敬です。
現代の街を何時間も歩いたり、離れた駅まで歩いて移動したり。そんな様子をSNSに投稿する人たちを、伊能忠敬になぞらえて呼んでいます。
とはいえ、正式な団体や競技ではありません。「何キロ歩いたら仲間入り」といった共通の基準もありません。
知らない街を訪ねる楽しさ、歩いて目的地にたどり着いた達成感。長距離ウォーキングの魅力は、人によってさまざまです。
ここで大事なのは、SNSで目にする距離が、健康づくりのために誰もが達成しなければいけない目標ではない、ということです。
若い世代にもウォーキングが人気?調査結果を確認
ウォーキングについては、スポーツ用品メーカーのニューバランス ジャパンが2022年に行った意識調査があります。
調査の対象は、全国の25歳から49歳の男女600人。実施期間は2022年7月29日から31日です。
この調査で、20代(調査対象は25〜29歳)の63.3%が「ウォーキングは年配の人がするもの」というイメージに「そう思わない」と答えています。
また、26.7%は「ウォーキングは自分たちの世代がやるもの」と答えています。
この2つは別々の質問への回答なので、数字をそのまま比べることはできません。
- 「20代の2人に1人が習慣的に歩く」の意味は?
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調査では、20代の約2人に1人が、月1回以上ウォーキングをしていると答えています。
ただし、ここでいうウォーキングには、健康のための運動だけでなく、趣味の散歩や、意識して歩いて移動することも含まれています。
毎日歩く人や、何十キロも歩く人が半数いる、という意味ではありません。
なお、この調査は2022年のものです。2026年に話題になっている「伊能忠敬界隈」の広がりや、長距離を歩く人が最近どれだけ増えたかを、直接示す数字ではありません。
若い世代にも歩くことを楽しむ人がいる。その傾向を知る資料として受け止めるのがよいでしょう。
出典:ニューバランス ジャパン「20代の2人に1人は習慣的にウォーキングを実施」(2022年9月8日発表)
健康のために何十キロも歩く必要はありません
では、健康のためには、どのくらい歩けばよいのでしょうか。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(概要・PDF)には、歩行またはそれと同じ程度以上の身体活動について、次の目安が示されています。
| 対象 | 身体活動の目安 |
|---|---|
| 成人 | 1日60分以上(約8,000歩以上に相当) |
| 高齢者 | 1日40分以上(約6,000歩以上に相当) |
ここでいう身体活動は、散歩だけを指すのではありません。通勤、買い物、家事など、日常生活で体を動かすことも含まれます。ただ、ガイドが目安にしているのは一定以上の強さの身体活動で、家事や動作のすべてがそのまま当てはまるわけではありません。
そして、この数字は、誰もが初日から達成しなければならない合格ラインではありません。
国のガイドも、年齢や体力、健康状態といった個人差を踏まえて、できることから始め、今より少しでも身体活動を増やすことが大切だとしています。
ふだんあまり歩いていない方が、いきなり何時間も歩く必要はありません。
たとえば、いつもの買い物で少し遠回りをしてみる。近くのお店まで、車を使わずに歩いてみる。そんな日常の小さな変化も、体を動かすきっかけになります。

何キロ歩いたかより、無理なく続けられることを大切にしたいですね。
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
長距離ウォーキングは帰り道から考えてみる
歩くことに慣れてくると、もう少し遠くまで行ってみたくなるかもしれません。
そのときにわたしが大事だと思うのは、目的地までの距離よりも「途中で無理なく帰れるか」です。
目的地に着いた時点で疲れ切っていたら、同じ距離を歩いて帰るのは大変です。
十三や三国、新大阪のあたりなら、出発前に駅の場所と、電車やバスで帰る方法を調べておくと安心です。
淀川の河川敷まで足を延ばす場合は、天候や日没の時刻のほか、河川公園の通行案内も確認しておきたいところです。アクセスなどの基本情報は、淀川河川公園 西中島地区ガイドにもまとめています。
出発前に確認したい3つのこと
- 帰り道:途中で切り上げることになっても、電車やバスで帰れるか
- 帰宅時刻:暗くなる前に帰れるか、翌日の仕事や家事に響かないか
- 体調と天候:足腰に痛みはないか、暑さや寒さ、雨に対応できるか
予定した距離を歩き切ることだけが成功ではありません。途中で疲れを感じたら、電車やバスなどの公共交通機関で帰るのも、大事な判断です。
靴は見た目より足に合っていることを優先
SNSでは、長距離ウォーキングで使った靴や便利な持ち物が紹介されていることもあります。
ただ、同じ靴を買えば誰でも長く歩けるようになる、というわけではありません。
まずは、手持ちの歩きやすい靴で、近所の短い距離から試してみることをおすすめします。
足の指が圧迫されていないか。かかとが浮いていないか。靴の中で足が前後に滑っていないか。短い時間でも、確かめられることがあります。
大きめの靴を選ぶ、ひもを緩めるといった工夫も、すべての人に合うとは限りません。新しく買うときは、実際に履いて歩いてみて、足に合っているかを確かめてください。
飲み物と、気温に合わせた服装の準備も忘れずに。飲み物の補給先は、淀川区周辺の給水スポットの探し方を参考に、あらかじめ調べておくと安心です。暑い日は熱中症、寒い日は体の冷えにも気をつけてください。
歩き終わったら、靴擦れや足腰の痛み、疲れの残り方を確かめましょう。翌朝になっても痛みや強い疲れが残っているときは、しっかり休んで、次に歩く時間や距離を見直してください。
歩いている途中に痛みやめまいが出たら
歩くことは健康づくりに役立ちますが、体調がすぐれない日に無理をする必要はありません。
発熱や強い疲れ、足腰の痛みがある日は、予定を変えて休むのも大切です。
持病のある方や、歩くと膝や腰の痛みが強くなる方は、距離を増やす前に、かかりつけ医などに相談してください。
また、歩いている途中で強い関節の痛みやめまい、ふらつきが出たときは、無理に歩き続けず、安全な場所で休んでください。症状が続くときや、何度も繰り返すときは、医療機関への相談が必要です。
突然の強い胸の痛みや圧迫感、強い息苦しさ、意識が遠のくような症状がある場合は、心臓や循環器の病気なども考えられます。
このような場合は直ちに歩行を中止し、周囲に助けを求め、ためらわず119番通報を検討してください。
目的地まであと少しだからといって、症状を我慢して歩き続けるのは避けましょう。
出かける前に、淀川区の24時間利用可能AED一覧で、よく歩くコース沿いの設置場所を見ておくと、いざというときの備えになります。
美容やダイエットの体験談は参考程度に
長い距離を歩いたことで「脚が引き締まった」「むくみが気にならなくなった」という体験談を見かけることもあります。
歩くことはエネルギーの消費を増やす活動の一つですが、体重や体形の変化には、食事や生活習慣、体質など、いろいろな要因が関わります。
ほかの人と同じ距離を歩いても、同じ変化が起こるとは限りません。
また、歩いた距離だけで消費カロリーが正確に決まるわけでもありません。体重や歩く速さ、坂道があるかどうかによっても変わります。
誰かの成果を励みにするのはよいことです。ただ、その記録を自分の体に無理に当てはめる必要はないと、わたしは思います。
十三や三国なら、いつもの買い物に散歩を少し足すところから
長距離ウォーキングに興味があっても、最初から遠くの目的地を決める必要はありません。
たとえば、十三や三国で買い物をした帰りに、時間と体調に余裕があれば、いつもと違う通りを一本歩いてみる。
ふだん通らない道には、気づかなかったお店や景色があるかもしれません。
ただ、知らない道に入るときは、交通量や歩道の状況にも気をつけてください。無理に遠回りする必要はありません。
帰宅したら、歩いた距離だけでなく、その日の疲れや翌朝の足の具合も振り返ってみる。
気持ちよく歩けて、翌日もふだんどおり過ごせたなら、まずは同じくらいの散歩を続けてみるのもよいでしょう。
十三や三国をもう少し歩いてみたくなったら、淀川区の地域情報サイト『ヨドガワウォッチ』ものぞいてみてください。
長く歩く楽しさも、自分に合った散歩も大切に
「伊能忠敬界隈」という言葉からは、遠くまで歩いてみたいという好奇心や、いつもと違う景色に出会う楽しさが伝わってきます。
長距離を歩くこと自体が悪いわけではありません。しっかり準備をして、自分の体力に合った距離を楽しむのは、すてきな趣味の一つだと思います。
一方で、健康のために誰もが何十キロも歩く必要はありません。
わたしは、その日に何キロ進んだかより、次の日もふだんどおり暮らせることを大事にしたいと思っています。
地域の活動も、張り切った一日だけでは続きません。散歩も同じです。家の用事や仕事と一緒に、無理なく続けられるくらいがちょうどいいですよね。
遠くまで歩く楽しさも、近所をゆっくり歩く楽しさも、どちらも大切にできたらいいですね。
次のお買い物の帰り道、ほんの少しだけ違う道を歩いてみませんか。
参考資料・公式情報
※本記事は2026年10月19日時点で確認できる資料をもとに作成しています。運動量の目安は一般的な推奨事項であり、個々の病気や体の状態に応じた医学的な判断に代わるものではありません。













